読書メモ: ウイルスを寄せつけない! 痛くない鼻うがい

花粉症なのか体調を崩したのをきっかけに、数年前に買ったっきり放置していた「ハナクリーン EX」を使ってみたところ、快適に鼻うがいができたので、鼻うがいについて勉強してみたくなり読んだ。

本とは関係ないが、昔から鼻うがいはやりたかったが上手くできたことがなく、それが「ハナクリーン EX」を使ったら簡単にできたのは感動的な体験であった。

ちなみに、耳鼻咽喉科でアレルギーのテストをやってもらったところ、ハウスダストが強めのアレルギーがあり、スギ花粉にも弱めのアレルギーがあった。

全体的な感想

鼻うがいの本であるが、この著者としては、EAT という上咽頭炎の治療法を本丸と考えているようであり、鼻うがいは補助的な位置づけと感じた。鼻うがいの効能についての研究がいくつか紹介されているが、エビデンスとしては弱いものが多いようだった。時期的に、鼻うがいに新型コロナウイルスの予防と治療の可能性があることが、科学的エビデンスがないと断った上で述べられている。全般的に、エビデンスに基づいた記載が少なく、逆に、鼻うがいには科学的な根拠はさほどないのかなという印象をもってしまった。

3 つのポイントに要約

  • 風邪の症状の震源地は上咽頭にあるので、鼻うがいによってウイルス等を洗い流すのは効果的。
  • 慢性上咽頭炎はさまざまな体の不調の原因となる。EAT という治療法が効果的。
  • 鼻うがいは 1% 程度の生理食塩水が快適であるが、2%程度の高張食塩水のほうが効果的。予防目的には 1%、治療目的では 2% を使うなど使い分けるとよい。

気になった部分の引用

日本では、鼻うがいの洗浄液として人の体液と同じ濃度の生理食塩水を使うのが一般的ですが、高張食塩水(濃い食塩水)の方が粘膜のむくみや炎症を軽減しやすいとの報告がこれまでに多数あります。鼻炎と副鼻腔炎の症例の報告をまとめて解析したところ、生理食塩水よりも高張食塩水が症状を改善する効果が勝ることが示唆されています。しかしその一方で、高張食塩水の鼻うがいは、炎症を引き起こすヒスタミンやサブスタンスP*hを作り出し、鼻づまり・鼻水・疼痛の原因になりうることも報告されています。簡単にいうと、「鼻うがいの効果は高張食塩水の方が期待できるが、副反応も出やすい」ということになります。ですから、「風邪予防のために行う毎日の『鼻うがい』には約1%の食塩水を使い、風邪かなと思ったら食塩水の濃度を約2%にする」といった具合に、用途に応じて濃度を変えるのが良いかもしれません。

こう書いてあったので、試しに 2% で試してみたところ、鼻うがい自体は少しツンとして不快になったが、その後の鼻の通りはよい感じがする。

私は外来の診療をしていて、「一年中風邪をひいている」「季節の変わり目には必ず風邪をひく」「周りの人の風邪をすぐもらう」と話す患者さんが少なからずいることに気づきました。そういう人は、他人の風邪はすぐもらってしまうのに自分の風邪は人にうつさない、という特徴があります。このような人を調べてみると、風邪をひいていないときも激しい慢性上咽頭炎がみられることが分かりました。つまり、風邪を引き起こしているのはウイルスではないのです。もともと慢性上咽頭炎を起こしていて、寒さや過労などで慢性上咽頭炎が悪化したときに、風邪をひいたと感じているのです。

自分も季節の変わり目や、疲れがたまったときに体調を崩すので、慢性上咽頭炎を持っているのかもしれないと思い、興味がわいた。

口呼吸の習慣があると風邪をひきやすいだけでなく、口の奥の両側にある扁桃腺の炎症を起こしやすくなります。扁桃に慢性的な炎症が起こると、扁桃炎自体の症状は軽くても、IgA腎症をはじめとする腎臓の病気や掌蹠膿疱症という治りにくい皮膚炎など、さまざまな病気を引き起こす原因となります。

体調が悪くなったとき、自覚症状として扁桃腺が腫れる感じがするのと、最近の健康診断で腎臓のスコアがよくないが、これが口呼吸や慢性上咽頭炎に関係があるのかもしれない。

そしてウイルス感染以外で上咽頭炎の原因として比較的多いのが「GERD(胃食道逆流症)」です。これは胃酸を含んだ胃の内容物が、胃から食道に逆流することによって発生する疾患で、食道裂孔ヘルニアがあるとGERDを起こしやすくなります。

これも自分がまさに逆流性食道炎で治療中なので、これも上咽頭炎とつながるのかとびっくりした。EAT による慢性上咽頭炎の治療にがぜん興味がわいたので、機会を見つけて受けてみたい。