読書メモ: 睡眠こそ最強の解決策である

タイトルに引かれたか、何かの本におすすめの本として書かれていた忘れたけど、気になった本。

427 ページ、平均読書時間 6 時間 52 分の本。自分の場合は 8 日間、合計で約 17 時間くらいかかった。

全体的な感想

睡眠の大切さが非常によく理解できた。最近は朝早く起きて本を読むようにしていたが、この本を読んでいる途中から睡眠時間を優先して起床時間が遅くなり、読書する時間が確保しにくくなり、読むのに時間がかかったほど。8 時間を目標に、できるだけ寝る時間を確保していこうと思ったし、子どもも、健やかな成長のためにたくさん寝かせてあげようと思った。

3 つに要約

  • ノンレム睡眠は記憶を整理し、定着させる。レム睡眠メンタルヘルスを整えたり、貯蔵された記憶の関連付けを行い創造性を発揮する。どちらの睡眠も重要。
  • 眠くなるメカニズムは 2 つあり、1 つは「概日リズム」で体が覚えている毎日のリズム。もう 1 つは「アデノシン」で起きていると脳内にアデノシンがたまって睡眠圧が高まる。この 2 つの独立したメカニズムの組み合わせで眠くなる。
  • 人間の大人は 8 時間の睡眠が必要。

気になった部分の引用

もちろん、健康的な食生活と定期的な運動も大切だ。しかし最新の研究によって、どうやら、食事、運動、睡眠のうち、健康のためにもっとも大切なのは、睡眠であることがわかってきた。

正直、食事や運動以上に、睡眠が大事だとは思っていなかった。

カフェインの半減期は、平均して5時間から7時間になる。たとえば午後7時30分ごろに夕食後のコーヒーを1杯飲んだとすると、午前1時30分になってもまだ半分のカフェインが体内に残っていることになる。

ここではっきり指摘しておこう。カフェインは精神刺激性のドラッグだ。それに加えて、小さな子どもや10代の子どもでも簡単に摂取できる唯一のドラッグでもある。

自分はコーヒーが大好きであり、飲むのをやめようとは思わないが、午後は控えようと思った。

レム睡眠は脳の情動回路に絶妙な調整を加える。そう考えると、レム睡眠が原動力となり、原始的な感情が洗練されて、理性でコントロールできるようになった可能性が高い。私が思うに、ホモ・サピエンスがすべての種族の頂点に立つようになったのは、おそらくその変化が大きな要因になっているのだろう。

レム睡眠が長いのが人間の特徴であり、レム睡眠によって創造性を発揮できたことが、人間が進化の頂点にいる原動力である。

数ヵ月から数年にわたって慢性的に睡眠不足の人は、低下した自分の状態に慣れてしまう。反応が鈍く、ぼんやりしていて、エネルギーが低い状態が、自分の普通だと思ってしまうのだ。そのため、慢性的な睡眠不足のせいで自分の能力が下がり、少しずつ健康がむしばまれていることに気づかない。

睡眠不足で能力が低下している人は、自分自身ではそのことに気づけない。自分も、人の名前が覚えられないとか、物事を忘れやすいとか、記憶能力の低下を感じていて、それはスキーで脳震盪を何度も経験したので、パンチドランカーのような症状かもしれないと思っているのだが、もしかしたら睡眠不足も理由なのかも知れないと思った。

朝7時に目を覚まし、そのまま夜遅くまでずっと起きていると、たとえアルコールは一滴も飲んでいなくても、午前2時に車を運転して帰宅するころは、飲酒運転と同じような状態になっているということだ。

飲酒運転はやらないが、寝不足での運転はしょっちゅうやっていた。眠気と闘いながらスキー場への往復をやっていたが、飲酒運転と同じように危険と言われると、もうやめようという気になる。

寝不足の状態が1週間続いた後で、回復のための長時間睡眠を3日続けても(つまり、週末の寝だめよりも長い)、脳の働きは通常のレベルまで回復しない。そして最後に、寝不足の状態にある人は、自分がどれほど寝不足かわかっていない。能力の低下を自覚できない。

寝だめのようなことをやっていた。仕事でよいパフォーマンスが出せないのも、睡眠不足のせいかもしれない。もちろんそれだけではないと思うが、要素としてはあるかもしれない。

つまり、何かを新しく学習したその日の夜に眠らないと、記憶を刻みつけるチャンスを失ってしまうということだ。その後でどんなにたくさん寝ても、最初の睡眠をとり戻すことはできない。

学習には睡眠が必要。勉強してもすぐ忘れるというのも自分の課題なので、睡眠を大切にしていきたい。

7時間から8時間の十分な睡眠をとらずにいると、食欲増加と代謝の低下というダブルパンチで、あなたの体重はどんどん増えていく。そしていずれは、肥満やⅡ型糖尿病に発展するだろう。

ここでのいいニュースは、睡眠を十分にとれば体重もコントロールできるということだ。私たちの研究により、一晩ぐっすり眠るだけで、衝動を司る原始の脳と、理性を司る新しい脳の間のコミュニケーションが回復し、食欲が正常になることがわかっている。十分な睡眠は脳内の衝動コントロールを回復させ、異常な食欲にブレーキをかけることができるのだ。

ちょうど今ダイエットにも取り組んでいるので、やはり睡眠は大切にしていきたい。

カートライトの調査によって、レム睡眠で夢を見るだけでは、トラウマを癒やすことはできないとわかった。つらい経験にともなうネガティブな感情を消したいのなら、それと同じ感情を喚起する夢を見なければならない。

昔うつになりかかったことがあり、そのときもとにかく寝るべしという本「快眠がうつを防ぐ 自分で治すうつ (眠れるCD付)」を読み、寝たら確かによくなった経験があるので、寝ることが精神の安定に大切なのはなんとなくわかっていたが、見る夢の内容も重要。レム睡眠によって筋肉が弛緩し、出来事と感情が切り離された状態でつらい経験を再び夢に見ることで、つらいい経験が癒やされる。

新しく学んだことを脳に定着させるのがノンレム睡眠の役割だとしたら、レム睡眠と夢の役割は、ある特定の状況で学んだことを、他の状況でも応用するための方法を見つけることだ。

レム睡眠すごい。そしてこのすごいレム睡眠は明け方に多くなるのに、そこを目覚ましで起こしてしまうのは致命的と作者は繰り返し書いている。そう言えば最近あまり夢を見ていないような気もする。

アメリカでは、始業時間を前倒しにする流れに逆行し、むしろ始業時間を遅らせる学校がだんだんと増えてきている。生物学的に理にかなった時間に戻しているのだ。早い段階で方向転換に踏み切った例として、ミネソタ州イーダイナがあげられる。かつては7時25分だった始業時間を、8時30分に遅らせたのだ。その結果、生徒たちの学業成績に劇的な変化が起こった。具体的には、SATと呼ばれる標準テストの成績だ。

始業時間が 7 時 25 分だったというのもすごいが、始業時間を遅くすると成績がよくなるというのもすごい。こんな簡単なことならぜひやったらいいと思うのに、この本にも書かれているが、はやく子どもを学校に行かせて自分も仕事に行きたい親の都合のためにそれができないというのは残念。